北海道へ旅行に行ってきた。
当初の予定から変わったところはいくつもあったけれど、充実した旅行になった。
旅行中にも、ときどきAIに相談した。
「このあとの時間で、どこまで回れそうか」
「明日の天気なら、景色を見るのはどの日がよいか」
そうやって色々と聞くと、これまでに話していた旅程を踏まえて答えてくれるのだ。
毎回、最初から説明し直さなくてよいのがいい。
今回の旅行で、ぼくがAIを使っていてよかったと感じたことは、おすすめの回転寿司やラーメン店の提案ではない。
もちろん、それもよかったけど。
ここまで一緒に考えてきた予定を、ある程度把握してくれて、提案してくれること。
これが一番便利だった。
旅行の予定を、少しずつAIに伝えていく
ぼくは計画的というより、旅は突然の出会いを楽しむ?タイプだ。
けっして考えるのが面倒くさい、というわけではない。はず。
休みを取って北海道旅行をすることにし、飛行機とレンタカー、宿泊先を決めたあと、気づいたら旅行の2日前になっていたのだ。
さすがに何も決めないのはまずいと思い、そこから、自然のきれいな景色を見たい、北海道らしいものを食べたい、ラフティングもしてみたい、と希望をひとつずつAIに伝えていった。
ラベンダー畑、青い池、回転寿司、スープカレー、味噌ラーメン。
どんどん提案が出る。
そして、候補が増えるたびに、AIは移動時間や場所のまとまりを考えて、日程の中へ並べてくれた。
ただ、最初から完璧な予定は出てこない。
予約困難なお店を提案されたのであきらめたり、営業時間が短いところがあって、食事の順番を入れ替えたりもした。
こちらが「それは少し詰め込みすぎでは」と感じることもあった。
そのたびに、また相談して組み直す。
この作業が、AIに相談するときには大事だ。
そして、あーでもない、こーでもないと考えていくのは思っていた以上に楽しかった。
旅行はどこへ行こうか、何を食べようかと考えている時間がワクワクする。
旅行の直前で何を言っているんだと思うかもしれないけど、これもぼくの旅の一部だ。
どんなに急な予定でも、AIは良き壁打ち相手になってくれる。
予定表から「しおり」も簡単に作成できる
予定の候補はかなり充実してきた。
チャットをさかのぼれば確認できるけれど、旅行中に長い会話を読み返すのは大変だ。
そこで、決まった内容を一度、予定表にまとめてもらうことにした。
最初はウェブページのようなHTML形式でお願いした。
HTMLの利点は修正のしやすさと、見やすさだと思う。
日ごとの予定が並び、写真や色もついている。背景も旅行らしい、きれいな雰囲気に変えてもらった。
それをスマートフォンに送りやすいように、ひとつのファイルへまとめてもくれた。
最後には、予定、天気、予約済みのもの、持ち物を入れたPDFのしおりも一声かけるだけで作成してくれた。
ぼくはデザインのセンスがない。
もちろん、旅行会社のような冊子を作る技術もない。
だが、「もう少し旅行が楽しめる感じのしおりにしたい」と伝えるだけで、整えてくれる。
これは、AIを使っていて素直にすごいと感じるところだ。
ただ情報を答えるだけではなく、散らばっていた情報を、自分の希望するとおりにまとめて変えてくれる。
天気が変われば、予定も変わる
旅行の日程が近づいてからは、天気予報を見ながら予定を調整した。
当初、四季彩の丘へ行く予定だった日は、天候が安定しなかった。
そこでAIと相談し、四季彩の丘は翌日へずらすことにした。
かわりに向かったのが、青い池だった。
空は曇っていた。
青い池というくらいだから、晴れていなければ青く見えないのでは、と少し心配ではあった。
でも、実際に見てみると、曇り空の下でも池はきれいな青色だった。
予定を柔軟に組み直すのも、AIに相談すれば簡単だ。
予定は、必ず守ろうとするよりも、その場の状況で調整するのがぼくには合っていた。
AIと作った予定表が、一つの道標になっていた。
予定があったから、逆に道を変えやすかった。
行きたいところの予定が頭に入っているので、「今日はここを減らそう」「これは明日に回そう」と考えられたのだ。
実際の旅行は予定から変わったけれど、予定を作ったことは無駄にならなかった。
最終日にも、役立った相談
最終日、飛行機の出発まで少し時間があった。
遠くへ行きすぎると空港に間に合わない。
かといって、そのまま空港へ向かうには少し早い。
そこで、いまいる場所と出発までの時間を伝え、その間に立ち寄れる場所を聞いてみた。
返ってきたのは、富良野チーズ工房とジェットコースターの路。
それぞれに何分ほど滞在し、何時ごろ出発すればよいかまで入っていた。
「どこかありませんか」だけではなく、残り時間の中に収まる形で返してくれたのだ。
予定になかった、花火大会
旅行中のある日、その日の夜に地域の花火大会が開かれることに気づいた。
せっかくなら見てみたい。
でも、何時に行けばよいのか、車をどこへ停められるのか、もともとの予定と両立できるのかわからない。
AIに相談すると、大会のスケジュールや駐車場を確認し、夕方5時ごろまでに市役所付近へ着くように動くとよい、と組み立ててくれた。
その予定どおりに動き、花火を見ることができた。
これは、旅行前に完成させたしおりにはなかった予定だ。
計画を作るだけでなく、計画の外で起きたことを、その場で組み込める。
今回、AIを旅行に使ってよかったと強く感じた場面だった。
AIに任せず、自分で確かめたこと
便利だった一方で、AIの答えをそのまま信じなかった部分もある。
店の営業時間。
予約が必要かどうか、電話なのかウェブでできるのか。
現地の集合場所。
こうした情報は、公式サイトや予約画面で最後に確認した。
AIは候補を出したり、確認する項目を整理したりするのは得意だと思う。
でも、最後に予約ボタンを押すのも、天気を見て出かけるか決めるのも、現地で予定を変えるのも、ぼくがやることだ。
医療AIにも、少し似ていると思った
ぼくは普段、医療とAIについて考えることが多い。
旅行計画と医療を同じように扱うことはできない。
判断を間違えたときの重さも、必要な正確さもまったく違う。
それでも、今回の体験には少し似ているところがあった。
AIが役立ったのは、ぼくの代わりに旅行を決めたときではない。
希望を聞き、散らばった情報を整理し、いくつかの選択肢を並べ、次に確認すべきことを見せてくれたときだった。
医療AIについても、すべての判断をAIへ渡すという話より、情報の整理や見落としの確認、考えるための材料を増やす使い方に、まず大きな価値があるのではないかと思っている。
AIが答えを出し、人がそれに従う。
そういう一方向の関係ではなく、AIの提案を見て、人が考え直し、また問いを返す。
それがよいと思う。
今回の旅行計画は、ずっとその繰り返しだった。
AIは旅行をしていない
当然だけれど、AIは北海道へ行っていない。
現地の空気も、食べ物の味も、景色を見たときの感覚も感じていない。
予定が変わったときの迷いも、思っていた以上に楽しかった瞬間も、実際に体験したのはぼくだ。
AIが作ってくれたのは旅そのものではなく、旅を楽しむための余裕だったのかもしれない。
調べることや整理することに使っていた時間が少し減り、そのぶん「どれがよさそうか」と考える余裕がうまれる。
そして旅行中、何か迷ったときには、ここまでの予定を知っている相談相手がスマートフォンの中にいるのだ。
それは思っていたより心強かった。
医療AIを考えるとき、どうしても精度や危険性、仕事が置き換わるかという大きな話になりやすい。
でも、暮らしの中で実際に使ってみると、もっと小さくて実用的な姿も見えてくる。
一緒に予定を考える。
変更したら組み直す。
忘れそうなことを、しおりにする。
AIは旅行には行けない。
けれど、旅行を楽しみに待つ時間から、帰ってくるまで、よい伴走者にはなれる。
今回の旅で、ぼくはそんなことを感じたのだ。

※この記事は勤務医個人の体験に基づく感想です。個別の症状や治療方針については、医療機関にご相談ください。


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