6つのAIに同じ相談をしてみた。違ったのは答え方だった

AIと暮らす

体調が気になったとき、まずAIに聞いてみる。
そんな時代になってきたのだと、少しずつ感じるようになった。

日曜の朝、家の周りを散歩していた。
日差しはもう暑く、公園の木々は鮮やかな緑に染まり、木漏れ日がきらめいている。
そんな景色を眺めながら、ふと考えが浮かんだ。

ぼくはAIに課金して使っている。
なるべくAIについて理解しておこうと思ってのことだ。
モデルも、できることも、どんどん変わっている。

モデルというのは、AIの頭脳にあたるものだ。

たとえば、2026年7月現在、ぼくのClaudeの画面には
Fable 5(フェイブル)
Opus 5(オーパス)
Sonnet 5(ソネット)
Haiku 4.5(ハイク)
と並んでいる。

それぞれ性能や得意なことが異なり、Fable 5は最も難しい問題に適したモデルとされている。
無料版と有料版では、使えるモデルの種類や量も変わってくる。

ぼくはエンジニアではないので、コードを書くことにはほとんど使っていない。
それでも、AIの精度は気になっている。

そこで考えた。
AIへの相談は、モデルによってどこまで違うのだろうか、と。

もしかしたら、現時点では、有料版と無料版で答えの内容はほとんど変わらないのではないか。

あるいは、こんな疑問をもつ人もいるかもしれない。

「無料版だと、答えに手を抜かれてたりするのでは?」

なので、確かめてみることにした。


実験のやり方(ざっくり)

やったことはシンプルだ。

Claude・ChatGPT・Geminiの3つについて、それぞれ無料版と有料版を用意し、まったく同じ文面の相談を投げてみた。

合計6通りの答えを確認した。

ちなみにこのブログは、ふだんはClaudeと一緒に書いている。

相談は4種類とした。

軽い急性症状の相談。
健康診断の数値についての相談。
明らかにやってはいけない薬の飲み方の質問。
そして、高齢の家族についての複雑な相談。

どれも、診察室やSNSでよく見かける内容にした。

そして、先に決めたことがある。

ぼくは審判にならない。

AIの答えが医学的に正しいかどうかは、この記事では採点しない。

それをやり始めると、この記事の趣旨が変わってしまうからだ。

見たのは「振る舞い」だけ。
病院をすすめたか。
危ないことを止めたか。
何を聞き返してきたか。

そういった反応を比べてみた。

条件はなるべくそろえた。
無料版は新しく作ったまっさらなアカウントを使った。
有料版は一時チャットを使い、これまでの会話履歴や記憶の影響を受けにくい状態にした。
AIがぼくを「医療に詳しい人」と知っていたら、答えが変わってしまうかもしれないからだ。

4つの相談のうち、関連する2つだけは同じチャットで続けて相談した。
残る2つは、それぞれ新しいチャットに切り替えて質問した。

結果はひとまず安心した内容だった

先に結論のひとつを書いてしまう。

6つとも、押さえるべきところを押さえていた。

やってはいけない薬の飲み方の質問に、「いいですよ」と答えたAIはひとつもなかった。

全員が「それはよくない」と明確に止めていた。
そして、理由を説明し、薬剤師さんや医師に確認するよう促してきた。

病院のすすめ方も同じだった。
どの相談でも、6つすべてが「こういう場合は受診を」と自分から言ってきた。

これには安心した。

AIの医療相談は危ない、という話はよく目にする。

もちろん危うさはある。

でも少なくともこの日、この4つの相談では、危険な行動を後押しする回答はなかった。


でも、「答え方」が違うことがわかった

答えの方向性は、6つともだいたい同じだった。

じゃあ何が違ったのか。

答えではなく、答え方だった。

ChatGPTは、答えのあちこちに公的機関の名前を挙げていた。
「出典で語る」タイプだ。
根拠を示しながら話す、勉強家の同僚みたいだ。

Claudeは、出典をほとんど出さずに、自分の言葉で噛み砕いて説明していた。
隣に座って「つまりこういうことなんだけどね」と話してくれる先輩みたいだ。

Geminiは、とにかく寄り添ってくる。
「それはおつらいですね」から入って、「どうぞお大事になさってください」で締める。
丁寧な窓口の方と話しているような感じだ。

面白いのは、高齢の家族についての相談への「聞き返し」だ。

同じ相談に対して、先輩タイプのClaudeは、本人の気持ちの聞き方を教えてくれた。
勉強家のChatGPTは、年齢や体重など確認すべきことを問診のようにリストで返してきた。
窓口タイプのGeminiは、介護の制度をすでに使っているかを聞いてきた。

気持ちを見るAI、体を見るAI、暮らしを見るAIといった感じだ。

同じ質問をしても、AIによって「何を大切に見ているか」が違って見えた。

これは優劣ではないと思う。
今後のアップデートで変わってくる可能性もある。
でも、自分が相談している相手がどんな返事をするのか、知っておくのも悪くないだろう。

無料と有料で、何が変わったのか

さて、最初の疑問に戻る。

無料版は手を抜いているのか。

ぼくの見た範囲では、「手を抜く」という感じではなかった
今回の4つの相談では、無料版も病院をすすめたし、危ない飲み方を止めた。
ただし、これだけで無料版と有料版の安全性が同じだとは判断できない。

違いを感じたのは答えの深さだった。

有料版の答えは無料版より具体的だった。
また、同じチャットで続けた2つの相談では、前の内容を踏まえて話をつなげてきた。
Geminiの有料版は、ふたつの別々の相談を「じゃあ病院に行くとき、両方まとめて先生に伝えては」と、ひとつの行動に整理までしてくれた。

それと、画面の「見え方」にも違いがあった。

有料版の画面には、いま答えているAIの名前や、考えるのにかかった時間まで表示される。
ところがChatGPTの無料版には、モデルの名前がどこにも表示されなかった。
いま自分がどのモデルと話しているのか、画面から確かめる手段がないのだ。

それから、ちょっと逆説的な発見もあった。

3つの有料版のうち、ClaudeとGeminiのふたつは、「私はAIであり、医師ではありません」と自分から言い出した

同じ会社の無料版は言わなかったのに。
少なくとも今回の回答では、課金している側のほうが謙虚だった。

残るChatGPTは、画面の下にいつも免責の注意書きが出ている。
先に言っている形だ。

ざっくり表にすると、こんな感じだった。

条件受診をすすめた危ない飲み方を止めた聞き返しAIの名前の表示
ChatGPT・無料○(やや控えめな言い方)◎ 問診のように詳しく表示なし
ChatGPT・有料○(考えた時間まで表示)
Claude・無料
Claude・有料○(具体的な助言つき)
Gemini・無料○(最も強い言葉で)
Gemini・有料○(最も強い言葉で)

※◎○△は答え方の濃淡で、優劣ではない。聞き返しの欄は、◎が「4つの相談すべてで、問診のように詳しく聞き返した」、○が「おおむね聞き返した」、△が「4つのうち一部の相談でだけ聞き返した」という意味だ。

正直なところ

ここまで読んで、「じゃあ結局どのAIがいいの?」と思った方もいるかもしれない。

でも、これはある一日の、ぼくひとりの観察にすぎない。
AIのモデルは数か月で入れ替わるし、同じ質問でも日によって答えは変わる。
この記事も「2026年7月時点」の記録として読んでほしい。

それでも、ひとつだけ伝えることを選ぶとしたら、これだ。

今回の比較を通してぼくが感じたのは、どのAIを選ぶかだけでなく、どう聞いて、どう受け取るかも大切だということだ。

回答の中には、年齢やほかの症状、暮らしの状況を聞き返すものがあった。
AIは、答えるために追加の情報を必要としていた。
そして6つのAIは、そろって同じことを言っていた。

「心配なときは、人に相談してほしい」と。

体のことで迷ったら、AIの答えは「病院に行く前の整理」くらいに受け取って、判断はかかりつけの先生や薬剤師さんと一緒に考える。
それが、いまのところの落としどころだと思う。


ところで、この実験でいちばん記憶に残ったのは、表に並んだ丸や三角ではなかった。

まったく同じ文章を投げたのに、6つの相談窓口は、6通りの顔で答えてきた。

出典を並べる勉強家。噛み砕いて話す先輩。寄り添ってくれる窓口の方。

あなたのスマホの中のAIは、どんな答え方をするだろう。

何気ない質問でもいいので、いちど確かめてみると面白いかもしれない。


※この記事は勤務医個人の体験に基づく感想です。個別の症状や治療方針については、医療機関にご相談ください。

検証の条件について
2026年7月26日に、Claude・ChatGPT・Geminiの無料版・有料版(計6条件)へ同一文面の4つの相談を投げて実施。無料版は新規アカウント、有料版は記憶・カスタマイズ機能をオフにした一時チャットで行った。4つのうち関連する2つは同じチャットで続け、残る2つはそれぞれ新しいチャットで質問した。画面に表示されたモデル名を記録し、回答の医学的な正確さは評価していない。各サービスの仕様は変わることがある。

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